タイトル
< ニホンジカの生態と環境への影響 >
日  時2008年3月9日(日曜日)13:00〜15:00
場  所八ヶ岳自然ふれあいセンター
参加人数57名



近年シカによる農林業への被害や高山植物の食害が進んでいるなどシカに関する関心が高まってきました。 当クラブでもシカの生息調査を実施していることもあり、シカに関する講演会を開催することにしました。 講師は野生動物保護管理事務所でシカの調査を長年続けてこられた濱崎伸一郎さんです。

山梨県では富士山麓、南アルプス、秩父・八ヶ岳の3地区に分けてシカの調査しています。近年温暖化のため降雪量が少なく、 豪雪もないため大半のシカは冬場を生き延び、自然による生息数の調整機能が崩れてきています。 さらにハンターの減少と高齢化、林縁部に広がる牧草地や農地など豊富なエサがシカの増加に追い討ちをかけています。

秩父・八ヶ岳のシカの胃を調べると秩父のシカは杉や檜の樹皮を食べており、食物に困っている様子が伺えるが、 八ヶ岳のシカはイネ科の標本が多く、牧草地や農地に依存していることが分かります。 シカは1歳から妊娠可能でエサが充分あれば2歳以上では95%の妊娠率があり、高い繁殖率をもっています。

近年メスジカの狩猟解禁、狩猟制限の緩和(狩猟期間の延長)などが実施されてきていますが、 鳥獣保護区における個体数管理や高標高域における捕獲方法の検討、そしてそれらの効果を確認する高度なモニタリングの実施が望まれます。




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本日の講師:濱崎伸一郎さん

会場には時間前からかなりの人が集まり関心の高さが伺えました。

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山梨県では富士山、南アルプス、秩父・八ヶ岳の3地区に分けて調査しています。

シカはテリトリーが無いためかなり高密度で生息するが、 カモシカはテリトリーを守るため一定以上には増えない。

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捕獲したシカの胃の内容物を調べると地域による差が大きい。 八ヶ岳のシカはイネ科の標本が多く、牧草地や農地に依存していることが分かリます。

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1978年のシカの生息地域と2001年の生息地域とを比較すると、 生息地域がほぼ全県下に広がっていることが分かります。

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餌付けしてないサルの増加率は年間3%くらいですが、 シカの増加率は30%近くあり、餌が充分あれば急激に増加します。

GPSでシカの昼夜の動向を調べると集落の周辺で生活していることが分かります。

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ハンターの数は昭和51年頃をピークに毎年下がり続け、 しかも高齢化していて、シカの狩猟による抑制がむつかしくなっています。

各県のシカ密度のモニタリング状況を見ると各県は3つ以上の方法を使っているが 山梨県は予算が少ないためか出猟カレンダーと糞塊調査の2つのみである。

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講演の終了後懇談会が開かれました。活発な 質問が飛び交い時間が大幅に超過しました。


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