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八ヶ岳自然散策

八ヶ岳のあるじ

【2011年7月】
雨上がりの稜線を歩いていると、大きなニホンカモシカ(以下カモシカ)が谷からノッソ、ノッソと登って来た。 白毛が目立ち、そのうえ雨に濡れているのでかなりの高齢であるように見受けられたが、 這松を背にしたその姿にはなんとも言えない風格があった。
私が立ち止まると向こうも立ち止まる。 いままで出会ったカモシカは、こちらが動くとたいてい逃げて行ったが、このカモシカはまったく動かない。 数メートルまで近づいてどちらが先に動き出すか根競べが始まった。 負けたのは私。10分くらい粘ったが我慢できなくなった。 しばらく進んで振り返ると何事もなかったようにゆっくりと谷を下って行った。
最近、八ヶ岳の山麓は鹿に席捲され、熊や猿も確認されている。 でも八ヶ岳の主はいつまでもカモシカであり続けてほしい。(文・写真 田中正人)
このページは、「 八ヶ岳ジャーナル」紙に寄稿した記事を掲載しています。
 
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